目的で探す

準備の裏側

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編

2021年08月29日

有田観光協会 at 10:00  | 観光ガイド研修
有田を観光する際に、史跡や有田に関する豆知識などをより楽しくディープに知ることができる有田観光協会の「観光まちなかガイド」。
定期的に行われている、観光ガイド研修の様子をレポートします。

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
今回は「幸楽窯」の工場のガイド研修後半編です。
3879㎡ある工場内を幸楽窯の徳永社長にアドベンチャーマップを使いながらご案内していただきました。
(幸楽窯前半編の記事はコチラ)

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
こちらは乾燥が終わったうつわを焼成する素焼き窯。900℃で24時間焼きます。商品の中には二回素焼きをするものもあるとか。

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
スプーンなど特に細いものは簡単に折れてしまうそう、実際に小皿を「ちょっと折ってみて!」と徳永社長に手渡されましたが和菓子の落雁かな?というくらい簡単にパキっと割れてしまいました。幸楽窯の工場見学の際は素焼き前のお皿を手で割るなかなかできない体験もさせているそうです。

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
下絵付けの作業場の一角では直火の当たる製品の底の部分に溶かした蝋を筆で塗り、釉薬をはじくようにする作業をされていました。とにかくそのスピード感は見ていて気持ちがいいです。

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
こちらは釉薬(うわぐすり)をかけて光沢や味わいを出したりする釉掛け(ゆかけ)の作業をする所です、幸楽窯ではひとつひとつ手作業でかけていきますが、今はオートメーション化し1度に5個同時に釉掛けができるマシーンを持つ窯元もあるそうです。それもいつか見てみたいですね。

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
本窯の前では職人さんが窯に入れるうつわを並べていました。これも高さや重さなどをうまく配置するのも職人の腕前。カップやお皿などが整然と並んでいます。

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
奥に見えるのはかつて肥前地区最初の量産型工場として250人体制で三交代で大量生産をしていた頃に使っていた、とーっても長い、ガス式のトンネル窯です。
左奥側から入って右側手前が出口。48時間で1300℃で焼成し、火を絶やさないため、入れる製品が少ない時でも空台車でどんどん回していたそうです。

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
今は業務用食器などその都度焚けるガス式の単窯に転換されています、ピーク時は4つの窯を2台ずつ交互に毎日使っていたそうですが、今は2番目と3番目の窯を交互に週2回に分けて1窯ずつ使っているそうです。

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
上絵付や転写をしている職人さんのお部屋では転写の作業をされていました、転写とはシート状になった上絵付の部分で、水につけてふやかせてシートから浮かせ、のり面をはがし、パーツごとに配置していきます。曲面にそってパーツが細かく分けられていて、見本として見せて貰ったものでは8つほどパーツが分かれていました。緻密な作業が要求される根気のいる作業です。

転写といっても幸楽窯では赤絵窯で何度も焼き重ねる手法のものもあり、素焼きから数えると最大5回焼成したという製品がコチラ、
【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
金と黒がカッコイイ、豪華なポットです。

広い工場内でやきものを作っていくための工程をマップに沿って実際に回り細かく解説していただき、たっぷりじっくり有田焼を作る工程を体感できました。
ローラーマシンや機械ろくろなど、なかなか見る機会がないものも見学することができ、オートメーション化が進んでいますが、それでも昔ながらの手作業の部分が残っているのも有田焼を作る工程で大事なところです。

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
幸楽窯は火鉢から家庭用食器、軍用食器、業務用食器…と時代と共に作るもを変えています、最近ではアーティストを受け入れ、制作に専念できる場を提供する「アーティスト・イン・レジデンス」を行っており、工場内でもアーティストの作品の数々を垣間見る事ができました。
有田焼を使った新しいモノ作りでより世界に有田焼を発信する場としても、アーティストと有田の窯元との繋がりを作るきっかけの場としても一役買っているそうです。
人と人との繋がりを大切にし、様々なモノ作りに繋げる、まさに有田らしい窯元です。

【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
またSDGs(持続可能な開発目標)にも積極的に取り組まれており、そのうちのひとつが大量生産されていた時代に作られ、倉庫の奥に眠っていた陶磁器たちに再びスポットを当てた「トレジャーハンティング」。観光のお客様向けに倉庫を開放し、「宝探し」のようにお客様自身がセルフでカゴに詰めて購入する、というとても有田らしいアクティビティです。ご家族で楽しめるスポットとしてもご案内したいですね。
今後は「アドベンチャーマップ」を使った企画を考えられているそうで、「お土産箸置きガチャ」なども考えられているそうです。完成するのが楽しみですね。

幸楽窯では名前は知っていても実際に見た事がなかったオートメーション化した機械の様子や旧式のトンネル窯、実際の作業も直接見て感じる事ができました。工場内はWi-Fi完備で工場内の写真撮影や動画撮影もどんどんやって広めて下さい!という徳永社長。工場見学の動画配信などもオススメです。


次回は「アリタポーセリンラボ工場」の研修の様子をご紹介します。
ひとえにやきものの工場といっても窯元によって全く雰囲気が違う部分にも注目していただきたいです。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

同じカテゴリー(観光ガイド研修)の記事画像
【観光ガイド研修講座2022】有田陶磁美術館・有田町歴史民俗資料館
【ガイド研修講座】第11回 レトロン号ツアー研修
【ガイド研修講座第10回】佐賀県窯業技術センター
【ガイド研修講座第9回】アリタポーセリンラボ工場
【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・前半編
【ガイド研修講座第8回】梶謙製磁社 型の美術館
同じカテゴリー(観光ガイド研修)の記事
 【観光ガイド研修講座2022】有田陶磁美術館・有田町歴史民俗資料館 (2022-07-28 16:00)
 【ガイド研修講座】第11回 レトロン号ツアー研修 (2021-09-03 17:00)
 【ガイド研修講座第10回】佐賀県窯業技術センター (2021-09-01 17:00)
 【ガイド研修講座第9回】アリタポーセリンラボ工場 (2021-08-30 14:30)
 【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・前半編 (2021-08-26 12:00)
 【ガイド研修講座第8回】梶謙製磁社 型の美術館 (2021-08-21 10:00)