【観光ガイド研修講座2022】有田陶磁美術館・有田町歴史民俗資料館
有田を観光する際に、史跡や有田に関する豆知識などをより楽しくディープに知ることができる有田観光協会の「観光まちなかガイド」。
今年も有田観光協会所属の観光ガイドの研修講座が始まりました。
その様子をレポートします。
この日はベテランガイドをはじめ、新規に登録されたガイド、有田観光協会スタッフを合わせて総勢21名が集まりました。
今年は9名もの新規のガイド登録があり、より賑やかになりました。
今回のガイド研修先は「有田陶磁美術館」と「有田町歴史民俗資料館」です。
有田陶磁美術館は普段は有田観光協会のすぐそばにある身近な美術館です。
明治時代に平林伊平氏が建てられた蔵を美術館にしている、建物そのものが歴史的建造物です。
建てられた当時は町民からは奇抜な建物だと言われていたそうです。
(平林伊平氏はその後有田町の初代町長にもなった方です、先見の目があったんでしょうね!)
この美術館には窯元やそれぞれの豪商が手掛けた製品を展示し、有田の明治時代から昭和初期の焼き物を紹介しています。中には江戸時代に輸出されていた製品の対比として置かれているものもあります。
案内をしていただいたのは有田町文化財課の学芸員の永井さんです。
有田の歴史の魅力とその面白さをたっぷり語っていただきました。
ガイドの皆さんもしっかりメモを取っていらっしゃいます。
ここには、江戸時代の有田焼を作る職人の様子と製造工程が描かれた
佐賀県重要文化財指定の「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」が収蔵されています。
有田町内の看板などにも使われているので、一度はみたことがある方も多いのでは?
作業をする生き生きとした職人や、ところどころに描かれている犬や猫、馬などの動物がいて生活の様子が伺えます。
ちなみにこの大皿、世界で3点(有田町の他にイギリスとオランダ)しか確認されていないそうです(模造品は多々あるそうですが)。
それぞれ窓絵(周りの窓のように区切られた部分)の場所がそれぞれ違っていたり、柱の位置や、左上の絵付職人の部屋を覗いている男の子がいなかったりするそうです。
有田町歴史民俗資料館 東館には、「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」の人物たちが動き出すアニメーションを使った解説ビデオもありますので是非コチラも見て頂きたいです。
そしてその隣には、江戸時代に作られたという、赤絵の狛犬。こんな大物を作り上げたなんてすごいですよね。
昔は弁財天神社にあったものだそうですが、盗難に遭い、紆余曲折を経て、戻ってきたものだそうです。
片割れは行方不明のままだとか。この狛犬にも様々な伝説があります。
二階には、宮中へ納められたものと同じ製品や、
鹿鳴館などで使われたという西洋食器のセットなどが展示されています。
中には、漆塗り風にした製品など、面白い作品もありました。
収蔵数は佐賀県立九州陶磁文化館が最も多いのですが、
有田陶磁美術館では明治時代の窯元や商社がどんなものを作っていたのかが一目で分かるようになっています。
是非、お立ち寄りの際はじっくりとご覧ください。
お次は有田町歴史民俗資料館 東館です。
普通の歴史民族資料館とは違うところは、ほぼ、やきもの産業に関するものしか展示されていないということです!
入口には発掘された貝塚のように埋められた、やきものの地層があったり、奥の部屋のど真ん中には登り窯のジオラマが展示されています。
そしてここには先ほどの有田陶磁美術館にもあった、「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」の平成版があります!
これは有田焼創業400年である2016年に作られました。
昔ながらのろくろ成型や手描きで作られている伝統工芸の職人尽くし絵図と
ローラーマシンや鋳込み成型、転写など、大量生産向けにオートメーション化した職人尽くし絵図です。
この2作品も将来的にこの時はこうして作っていたのか!となる日が来るかもしれませんね。
泉山磁石場の発見によって、豊富な原材料が手に入り、町民がやきもの産業だけで食べていけるようになった、産業としての発展に繋がったことが何よりの大発見だという事を熱く語ってくださる永井さんの話に、皆さん熱心に聞き入っていました。
内山地区の地形が谷間になっていて登り窯が作りやすかった点や、豊富な水資源があること、燃料になる松の木が周りにあったことなど、あらゆる条件が揃ったことにより、有田焼の産業が確立されました。
隣接する有田焼参考館には、発掘調査によって発見されたやきもののかけらなどが展示されています。
最初は中国の模倣から始まり、年代を経て技術力が向上し、文様や形がより洗練されて、独自の進化を遂げていく様子がよく分かる展示となっています。
中でも永井さんが話されていた
「柿右衛門様式が海外であまり模倣されなかった理由のひとつとして考えられるのが、「余白の美」は上手い人が描くことで完成されているけれど、下手な人が描くとただの手抜きにしか見えない」
…という考察話も面白かったです。
確かに…あの絶妙な余白の美のバランスは難しいです…。
発掘調査によって分かった近年の話も交えて、今までの観光案内をする際の定説が実はそうではなかったかもしれない…という話など、短時間ではなかなか語り尽くせない盛りだくさんの内容でした。
歴史については今も諸説あるものも多く、説明が難しいこともありますが、お客様をご案内する際のガイドの知識も日々アップデートが必要ですね。
有田町の歴史や文化の魅力と面白さはなかなか1日では語りつくせないのですが、
ご案内をする際にお客様を引き付ける、熱いトークで語れるようになりたいです。
今後もガイド研修講座の様子を定期的にお届けしたいと思います!お楽しみに!!
有田まちなか観光ガイドのご用命は、コチラのページをご覧ください。
今年も有田観光協会所属の観光ガイドの研修講座が始まりました。
その様子をレポートします。
この日はベテランガイドをはじめ、新規に登録されたガイド、有田観光協会スタッフを合わせて総勢21名が集まりました。
今年は9名もの新規のガイド登録があり、より賑やかになりました。
今回のガイド研修先は「有田陶磁美術館」と「有田町歴史民俗資料館」です。
有田陶磁美術館は普段は有田観光協会のすぐそばにある身近な美術館です。
明治時代に平林伊平氏が建てられた蔵を美術館にしている、建物そのものが歴史的建造物です。
建てられた当時は町民からは奇抜な建物だと言われていたそうです。
(平林伊平氏はその後有田町の初代町長にもなった方です、先見の目があったんでしょうね!)
この美術館には窯元やそれぞれの豪商が手掛けた製品を展示し、有田の明治時代から昭和初期の焼き物を紹介しています。中には江戸時代に輸出されていた製品の対比として置かれているものもあります。
案内をしていただいたのは有田町文化財課の学芸員の永井さんです。
有田の歴史の魅力とその面白さをたっぷり語っていただきました。
ガイドの皆さんもしっかりメモを取っていらっしゃいます。
ここには、江戸時代の有田焼を作る職人の様子と製造工程が描かれた
佐賀県重要文化財指定の「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」が収蔵されています。
有田町内の看板などにも使われているので、一度はみたことがある方も多いのでは?
作業をする生き生きとした職人や、ところどころに描かれている犬や猫、馬などの動物がいて生活の様子が伺えます。
ちなみにこの大皿、世界で3点(有田町の他にイギリスとオランダ)しか確認されていないそうです(模造品は多々あるそうですが)。
それぞれ窓絵(周りの窓のように区切られた部分)の場所がそれぞれ違っていたり、柱の位置や、左上の絵付職人の部屋を覗いている男の子がいなかったりするそうです。
有田町歴史民俗資料館 東館には、「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」の人物たちが動き出すアニメーションを使った解説ビデオもありますので是非コチラも見て頂きたいです。
そしてその隣には、江戸時代に作られたという、赤絵の狛犬。こんな大物を作り上げたなんてすごいですよね。
昔は弁財天神社にあったものだそうですが、盗難に遭い、紆余曲折を経て、戻ってきたものだそうです。
片割れは行方不明のままだとか。この狛犬にも様々な伝説があります。
二階には、宮中へ納められたものと同じ製品や、
鹿鳴館などで使われたという西洋食器のセットなどが展示されています。
中には、漆塗り風にした製品など、面白い作品もありました。
収蔵数は佐賀県立九州陶磁文化館が最も多いのですが、
有田陶磁美術館では明治時代の窯元や商社がどんなものを作っていたのかが一目で分かるようになっています。
是非、お立ち寄りの際はじっくりとご覧ください。
お次は有田町歴史民俗資料館 東館です。
普通の歴史民族資料館とは違うところは、ほぼ、やきもの産業に関するものしか展示されていないということです!
入口には発掘された貝塚のように埋められた、やきものの地層があったり、奥の部屋のど真ん中には登り窯のジオラマが展示されています。
そしてここには先ほどの有田陶磁美術館にもあった、「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」の平成版があります!
これは有田焼創業400年である2016年に作られました。
昔ながらのろくろ成型や手描きで作られている伝統工芸の職人尽くし絵図と
ローラーマシンや鋳込み成型、転写など、大量生産向けにオートメーション化した職人尽くし絵図です。
この2作品も将来的にこの時はこうして作っていたのか!となる日が来るかもしれませんね。
泉山磁石場の発見によって、豊富な原材料が手に入り、町民がやきもの産業だけで食べていけるようになった、産業としての発展に繋がったことが何よりの大発見だという事を熱く語ってくださる永井さんの話に、皆さん熱心に聞き入っていました。
内山地区の地形が谷間になっていて登り窯が作りやすかった点や、豊富な水資源があること、燃料になる松の木が周りにあったことなど、あらゆる条件が揃ったことにより、有田焼の産業が確立されました。
隣接する有田焼参考館には、発掘調査によって発見されたやきもののかけらなどが展示されています。
最初は中国の模倣から始まり、年代を経て技術力が向上し、文様や形がより洗練されて、独自の進化を遂げていく様子がよく分かる展示となっています。
中でも永井さんが話されていた
「柿右衛門様式が海外であまり模倣されなかった理由のひとつとして考えられるのが、「余白の美」は上手い人が描くことで完成されているけれど、下手な人が描くとただの手抜きにしか見えない」
…という考察話も面白かったです。
確かに…あの絶妙な余白の美のバランスは難しいです…。
発掘調査によって分かった近年の話も交えて、今までの観光案内をする際の定説が実はそうではなかったかもしれない…という話など、短時間ではなかなか語り尽くせない盛りだくさんの内容でした。
歴史については今も諸説あるものも多く、説明が難しいこともありますが、お客様をご案内する際のガイドの知識も日々アップデートが必要ですね。
有田町の歴史や文化の魅力と面白さはなかなか1日では語りつくせないのですが、
ご案内をする際にお客様を引き付ける、熱いトークで語れるようになりたいです。
今後もガイド研修講座の様子を定期的にお届けしたいと思います!お楽しみに!!
有田まちなか観光ガイドのご用命は、コチラのページをご覧ください。
【ガイド研修講座】第11回 レトロン号ツアー研修
【ガイド研修講座第10回】佐賀県窯業技術センター
【ガイド研修講座第9回】アリタポーセリンラボ工場
【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・後半編
【ガイド研修講座第9回】幸楽窯・前半編
【ガイド研修講座第8回】梶謙製磁社 型の美術館
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