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【窯元探訪:35】G工房

2020年08月29日

有田観光協会 at 09:00  | 窯元探訪・やきもののお店訪問
皆様に有田の窯元・やきもののお店をご紹介する【窯元探訪・やきもののお店訪問】。

今日は『G工房』をご紹介します。
【窯元探訪:35】G工房

『G工房』は1985年に有田町中樽に工房を開かれた後、2000年に、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている有田町内山地区に移転され、工房ショップを開かれました。
【窯元探訪:35】G工房 【窯元探訪:35】G工房

白磁を夫の大久保譲治さん、彫金を妻の澄江さんが制作される白磁とシルバーアクセサリーのギャラリーとして、すべて手作りの作品を展示・販売されています。
"工房ショップ"とされているのは、作り手と使い手の顔が見えるお店を目指しているからだそうです。
「買ってくださったお客様とコミュニケーションをとることで、有田焼の良さをわかってもらうことができるんですよ。」と語るのは作り手の大久保さん。
作品は食器が多いのですが、使い方はお客様にゆだねているといいます。
花器として制作したものでも、料理の器として使われるお客様もいらっしゃるとか。自由な発想で使って頂きたいと大久保さんはおっしゃいます。
大久保さんから使い方を提案したり、逆にお客様から使い方のアイデアを教えていただくこともあるそうです。
そんな新鮮な発見も、お店を訪れていただいたお客様とのコミュニケーションを大切にしているからこそ。
お客様が購入された器を使っている写真を送ってくださることもしばしばあるそうで、"作り手と使い手"の繋がりが、制作意欲に結びついているそうです。
【窯元探訪:35】G工房


彫金を制作するのは奥様の澄江さんです。アクセサリーを中心として、磁器の器や花瓶とのコラボレーション商品も展開されています。上品で美しい艶やかな白磁とシックな銀のコラボ作品はお客様に評判です。
【窯元探訪:35】G工房
こちらの商品は、緩やかなカーブが特徴的な「薬壺(やっこ)」。
手元供養のための小さな骨壺として制作されたそうです。骨壺としてだけでなく、小物入れとしても活用できます。蓋となる銀と、白磁の口部分を合わせるのが難しく、慎重に調整を重ねて制作されたそうです。

澄江さんは彫金の制作の他、ディスプレイデコレーターでもいらっしゃいます。有田に来られる前は、アパレルメーカーで販売促進の仕事をされていました。
有田町で10年以上「ディスプレイ塾」を開き、店舗のディスプレイの指導や、プロデュースをされています。
【窯元探訪:35】G工房

豊美堂(ブログ記事はコチラ)や、うつわ処けいざんなど、有田の内山地区の十数店舗は澄江さんのディスプレイ塾の生徒さんで、町のショーウィンドウは月ごとに、華やかなディスプレイで彩られています。

また、今年は新型コロナウイルスの影響で延期となっていますが、有田の夏の風物詩となっている『有田ウィンドウディスプレイ甲子園』でも審査員を長年務められています。
『有田ウィンドウディスプレイ甲子園』とは、 次世代を担う高校生の手で有田の店舗のショーウィンドウを審査テーマに沿ってデザインする大会です。昨年は13チームが参加し、高校生の独創的なアイデアと個性溢れる豊かな感性で、 有田独自の伝統的な町家を華やかに彩りました。
昨年の『有田ウィンドウディスプレイ甲子園』のブログ記事はこちら

【窯元探訪:35】G工房

「有田の町並みを歩きながら"ウィンドウショッピングを楽しめる町"にするのが夢なんです」と語る澄江さん。
澄江さんが指導するウィンドウディスプレイのテーマは、お客様を迎え入れる重要なサインであり、プレゼンテーションだということです。

ウィンドウディスプレイの極意は通行人の目を惹きつけ購買意欲を高めることです。
効果的なディスプレイの位置は、1200mm~1500mm。これは人の目線の高さだそうです。
たとえば交差点付近の店舗は、車が信号で停車するため、車内の人の目線に合わせてディスプレイをする必要があります。
ディスプレイのレクチャーを受けると、ウィンドウディスプレイがただ美しい飾りとしてだけではなく、売るための戦略ということがわかります。
澄江さんは、店の個性をディスプレイで表現することが大切と指導されているそうです。

海外では、町のウィンドウディスプレイは時代を表す文化と位置付けられています。
有田の内山地区のような100年を超える建物による町並みにショーウィンドウがあることこそ、有田は商人の文化ではないかと澄江さんはおっしゃいます。都心や海外へ行商に出ていた有田の商人が文化を持ち帰ったからこそ、九州の小さな町ながら、100年以上も前からショーウィンドウが作られたのでしょう。
今後は、町や店舗を活性化させるためにも、ウィンドウショッピングの文化をもっと広げて新たな有田の特色としてお客様を呼び込めたらと澄江さんはおっしゃっていました。


今年は有田陶器市も延期を余儀なくされ、Web有田陶器市の開催となり、有田の町でも様々なことが変わっていこうとしています。
G工房でも、Webに対応していくことが必要と考え、他店の商品との違いをどう出せるか、お客様とのコミュニケーションを大事にし続けるにはどうしたら良いかなど探究する日々だそうです。
有田の特色ある町並みや、風景、文化で有田の町にお客様を呼びたいと考えるお二人だからこそ、今後の有田町の在り方について熱い想いが溢れる取材となりました。

【窯元探訪:35】G工房
本日は白磁作家の大久保譲治さん、ディスプレイデコレーターの柴田澄江さんにお話を伺いました。


G工房
佐賀県西松浦郡有田町岩谷川内2-4-11
TEL:0955-43-3420
営業時間:11:00~18:00
定休日:毎月第1日曜


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