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【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)

2021年08月07日

有田観光協会 at 10:00  | 窯元探訪・やきもののお店訪問
皆様に有田の窯元・やきもののお店をご紹介する【窯元探訪・やきもののお店訪問】。
今日は有田町、南山地区にある乃利陶窯をご紹介します。

【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)
本日は乃利陶窯の窯主、樋口憲人さんにお話を伺います。
樋口さんは本格的な作陶活動をされる以前は北陸方面に陶磁器の行商をされていたそうです。その際、北陸地方には江戸時代の日本国内に流通していた初期の有田焼、「初期伊万里」と呼ばれるものが多く残っており、その収集と鑑定の勉強をされていました。
「古美術や陶片の研究に関係しているうちに、当時の職人の仕事がどんな風に作られていたのかが見るだけでわかるようになっていった。」と樋口さん。
自ら初期有田を再現したものを作ろうと2000年頃より、陶土作りから、ろくろ、釉薬まで作るという本格的な作家活動を始められたそうです。

乃利陶窯の「のりとう」とは樋口さんのお名前と、ありがたくいただく、「祝詞」という意味を込めて「乃利陶窯」と付けられたそうです。

【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)
「乃利陶窯」では有田の鉱物やミカンの木の灰を混ぜた「ミカン灰」をブレンドした、オリジナルの「李白釉」を開発されています。
ひとつひとつ、江戸時代から使われている技法、土で作った土台に生地を打ち付けて作る、「型打ち成形」によって作られています。

【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)
また有田町の隣、伊万里の「腰岳」で採取した黒曜石を使った釉薬を開発されています。
真っ黒な黒曜石焼は、瓦職人の黒茶碗をヒントに作られたとの事。この黒曜石を使ったうつわでお茶を淹れると、味がまろやかになるそうです。黒曜石、黒釉シリーズは遠赤外線効果があるという土鍋など、「機能性有田焼」を作られています。

【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)
こちらには南山地区で発掘、収集されたという出土品が飾られています。南山地区にも多くの窯跡あり、樋口さんによると、ひとつひとつの陶片から読み解ける、今では使われていない技術など職人のこだわりを作陶のヒントにされているそうです。


作陶活動以外でも、樋口さんが趣味で始められたという生粉打ち蕎麦を作られています。
蕎麦打ちも、やきもの作りも生地を練るところから始まるのが共通点ですね。
【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)
こちらでは、オリジナルの器でこだわりの手打ち蕎麦を食べる事のできる、そば処「のりとう」として、素敵なうつわたちに囲まれてお食事できます。(要予約)
釉薬からオリジナルで製作したうつわ、「李白釉」に、樋口さん自らがそば粉からこだわった手打ちそばが盛りつけられ提供されます。
“ろくろ体験+絵付け体験+手打ちそばのコース”がセットになった「ろくろ体験コース」もあります。

【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)
敷地内のギャラリーも案内していただきました。
一般食器から、割烹食器、美術品の大きな壺などの作品などが三部屋に別れてずらりと並んでいて、ゆっくり眺められる空間となっています。
昔ながらの家具と一緒に展示されていて、中には船金庫(船箪笥)の上にディスプレイされた作品もありました。

【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)
こちらは向かいの工房になります。型打ち成形に使われている型も見せていただきました。
粘土をお皿の形に成形したあと、型に打ち付けて細かく成形します。
今作られているという大きな作品も並んでいました。

【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)
こちらはろくろ体験コーナー。教えかたが上手いとお客様からも人気なんだそうです。
プレゼントや記念品などを作られる方もいらっしゃるとか。
有田に来られた記念に是非体験をされてみてはいかがでしょうか?

【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)
また、樋口さんが作られている初期伊万里を再現されている作品たちも見せていただきました。出土品や古陶磁研究で培った知識で当時作られていたのかを忠実に再現されています。

【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)
特徴としては素焼きをしない生地に釉薬をかけて焼成する方法や、砂高台という、器を重ねて焼く際に、器同士がくっつかないように砂を高台につけていたものを再現したものは、あえて砂を削らない状態のままにしたり、釉薬を掛ける際に残った指の跡をあえて残したりなど、味のある器を再現されています。

古陶磁の研究から作陶から蕎麦打ちまで様々なことに挑戦されてきた樋口さん、
「人より変わったものをいかに作るかを常に考えている」とのこと。
今後は陶板作品も発表されるとの事。どんな素敵なものができるか楽しみですね。

古陶磁の研究から始まり、オリジナルの釉薬の開発、蕎麦打ちまで、あらゆるこだわりが詰まった乃利陶窯。是非ろくろ体験からオリジナルの器でのお食事など、是非フルコースで楽しんでみてはいかがでしょうか?

【窯元探訪:57】乃利陶窯(のりとうがま)
本日は乃利陶窯、樋口憲人さんにお話を伺いました。

「乃利陶窯」
〒844-0028
佐賀県西松浦郡有田町南山丁426-1
TEL:0955-43-2890
営業時間:10:00~17:00
定休日:年中無休
https://noritou.handcrafted.jp/

「そば処のりとう」
営業時間:11:00~16:00
時間外は要予約
店内禁煙

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