【ガイド研修講座第5回】柿右衛門窯・源右衛門窯
有田を観光する際に、史跡や有田に関する豆知識などをより楽しくディープに知ることができる
有田観光協会の「観光まちなかガイド」。
定期的に行われている、観光ガイド研修の様子をレポートします。
第5回は「柿右衛門窯」「源右衛門窯」です。
「窯元巡りコース」のモデルコースでもご案内している有田の老舗の窯元です。
最初に向かったのは「柿右衛門窯」
日本初の赤絵の技法を開発され、素地の余白を活かした明るく繊細で絵画的な構図、『柿右衛門様式』を現代に伝える由緒ある窯元です。
この日は石井支配人にご案内いただきました。
まずはギャラリーに展示されている十五代の作品や窯物作品を見ながら、伝統的な絵柄、十五代が新しく考案された草花をメインにした絵柄についての解説や、柿右衛門窯独自の濁手(にごしで)の土や釉薬などについて解説していただきました。
つづいて、隣にある柿右衛門古陶磁参考館へ。入口の取っ手も立派な柿右衛門様式。
残念ながらこちらは内部は撮影不可ということで写真はありませんが、初期伊万里の皿から、ヨーロッパから里帰りした壷や花瓶、十二代、十三代、十四代、十五代柿右衛門の代表的な作品を見ることができ、並べて展示してあるので、代ごとに独自の特徴があることを分かりやすく見ることができます。
濁手(にごしで)とよばれる柿右衛門窯当主が手がける作品の独自のやわらかい色合いの生地、余白の美しさ、伝統的な色使い、そしてその薄さ!ヨーロッパ王侯貴族を魅了した柿右衛門がいかに凄いかを知ることができました。
そのほかにも江戸期から使われている、土で作られた型に生地を叩きながら形を作る「型打ち成形」の型や手順、絵付けから焼成までの手順が分かりやすく解説されています。型打ち成形は有田でも使われているところは今ほとんどないそうですが、柿右衛門窯では今でも「丸もの」と呼ばれる壺などの成形以外は全てこの型打ち成形で作られているそうです。
伝統と技術を大切にされてこられたのがよく分かります。
母屋と柿の木が見えるお庭のさらに奥に工房があります。
今回はガイド研修ということで、なんと、秋の陶磁器まつりの時のみ解放している薪窯を見せていただきました。
まず驚くのが一番先に目に入る薪の束!この薪は島根や鳥取などの山陰地方から取り寄せた赤松だそうで、
一度の焼成に役600〜1000束の薪を使うそうです…!
薪窯の中にも初めて入らせていただきました。窯の中は思ったより中は広く感じました。なかなかできない経験ですね。
また昔ながらの土間作りで、ろくろや型打ちをされている「細工場」、絵付けをされている「赤絵座」も窓から見学。
古陶磁参考館で解説されていた「型打ち成形」の実際の作業を間近に見る事ができました。
工房内は一部機械化つつも基本的には400年前からほとんど変わらない作業光景と解説していただきましたが、本当に「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」そのものを見ているような気持ちになりました。(※「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」についてはコチラ)
窓越しではありますが、職人の作業風景を間近で見る事ができ、大変貴重な体験となりました。
柿右衛門窯の次は源右衛門窯へ。
伝統を守りつつ、古伊万里様式に独自の現代的アレンジを施した作風と洗練された文様が特徴的な窯元です。
源右衛門窯では金子社長にご案内していただきました。
まずは併設されている「源右衛門古伊万里資料館」へ。こちらは現在休館中とのことでしたが、特別に今回ご案内していただきました。
入口には平成元年に窯を修理した際に出たレンガの廃材を使って作られたトンバイ塀が。廃材の中でもいい所を選んで作られたそうで、よく見かける内山のトンバイ塀とはまた雰囲気が違って見えました。
中には、昭和40年代からこれまで参考資料として日本各地のみならず、東南アジアやヨーロッパなど世界各地から集めた作品の数々が展示されています。
一階には輸出古伊万里を中心に、二階には有田町内で出土した陶片などが年代や場所別に展示されています。
発掘された青磁の陶片ひとつひとつにも、ストーリーがあるとの事で、中国にあやかって陶器ベースのように見せるために高台の色を変えたという興味深いエピソードや、時代によってお皿のデザインの流行や技術力の違いなどが分かりやすく展示されており、有田焼の歴史がギュッと詰まった資料館でした。
ヨーロッパからの里帰り品や出土品などにガイドさんも沢山の鋭い質問を投げかけられていて、そのたびに貴重なエピソードも聞くことができ、勉強になることばかりでした。
源右衛門窯でも工房の見学をさせていただきました。こちらは一般の方は現在窓越しでしかご覧になれませんが、今回は中に直接お邪魔させていただきました。
こちらも土間作りの作業場で職人さんの作業を間近で見ることができました。
削りの作業や絵付け、釉薬かけなどをぐるりと一箇所で見ることができ、まるで「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」の中に入ったような気分を味わえました。
こちらは源右衛門窯の薪窯!こちらも秋の陶磁器まつりの時に見学することができます。
こちらも中を見学させていただきました。中に入ると薪の煙の成分によってできたという天然の釉薬のようなコーティングになっていて黒くテカテカと光っていました。
今はガス窯が主流ですが、薪窯ならではの燃料の温度の違いや煙、還元方法などのやり方によって絵の具の発色や雰囲気がガラリと変わるそうで、自然の物でしか作れない物もあるのだと実感しました。
今回は初めて生で薪窯を見学できたり、普段は見られない工房の見学など大変貴重な体験ができ、有田焼がどのように400年もの間伝統を守り、技術が受け継がれてきたのか、実感することが出来るコースでした。
住んでいるだけでは知らなかった興味深いエピソードや有田ならではのあるある話なども聞くことができ、
窯業についての専門用語もだんだん理解できるようになり、日々知識が増えていく感じがしています。
次回は香蘭社での研修の様子をレポートします!
有田観光協会の「観光まちなかガイド」。
定期的に行われている、観光ガイド研修の様子をレポートします。
第5回は「柿右衛門窯」「源右衛門窯」です。
「窯元巡りコース」のモデルコースでもご案内している有田の老舗の窯元です。
最初に向かったのは「柿右衛門窯」
日本初の赤絵の技法を開発され、素地の余白を活かした明るく繊細で絵画的な構図、『柿右衛門様式』を現代に伝える由緒ある窯元です。
この日は石井支配人にご案内いただきました。
まずはギャラリーに展示されている十五代の作品や窯物作品を見ながら、伝統的な絵柄、十五代が新しく考案された草花をメインにした絵柄についての解説や、柿右衛門窯独自の濁手(にごしで)の土や釉薬などについて解説していただきました。
つづいて、隣にある柿右衛門古陶磁参考館へ。入口の取っ手も立派な柿右衛門様式。
残念ながらこちらは内部は撮影不可ということで写真はありませんが、初期伊万里の皿から、ヨーロッパから里帰りした壷や花瓶、十二代、十三代、十四代、十五代柿右衛門の代表的な作品を見ることができ、並べて展示してあるので、代ごとに独自の特徴があることを分かりやすく見ることができます。
濁手(にごしで)とよばれる柿右衛門窯当主が手がける作品の独自のやわらかい色合いの生地、余白の美しさ、伝統的な色使い、そしてその薄さ!ヨーロッパ王侯貴族を魅了した柿右衛門がいかに凄いかを知ることができました。
そのほかにも江戸期から使われている、土で作られた型に生地を叩きながら形を作る「型打ち成形」の型や手順、絵付けから焼成までの手順が分かりやすく解説されています。型打ち成形は有田でも使われているところは今ほとんどないそうですが、柿右衛門窯では今でも「丸もの」と呼ばれる壺などの成形以外は全てこの型打ち成形で作られているそうです。
伝統と技術を大切にされてこられたのがよく分かります。
母屋と柿の木が見えるお庭のさらに奥に工房があります。
今回はガイド研修ということで、なんと、秋の陶磁器まつりの時のみ解放している薪窯を見せていただきました。
まず驚くのが一番先に目に入る薪の束!この薪は島根や鳥取などの山陰地方から取り寄せた赤松だそうで、
一度の焼成に役600〜1000束の薪を使うそうです…!
薪窯の中にも初めて入らせていただきました。窯の中は思ったより中は広く感じました。なかなかできない経験ですね。
また昔ながらの土間作りで、ろくろや型打ちをされている「細工場」、絵付けをされている「赤絵座」も窓から見学。
古陶磁参考館で解説されていた「型打ち成形」の実際の作業を間近に見る事ができました。
工房内は一部機械化つつも基本的には400年前からほとんど変わらない作業光景と解説していただきましたが、本当に「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」そのものを見ているような気持ちになりました。(※「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」についてはコチラ)
窓越しではありますが、職人の作業風景を間近で見る事ができ、大変貴重な体験となりました。
柿右衛門窯の次は源右衛門窯へ。
伝統を守りつつ、古伊万里様式に独自の現代的アレンジを施した作風と洗練された文様が特徴的な窯元です。
源右衛門窯では金子社長にご案内していただきました。
まずは併設されている「源右衛門古伊万里資料館」へ。こちらは現在休館中とのことでしたが、特別に今回ご案内していただきました。
入口には平成元年に窯を修理した際に出たレンガの廃材を使って作られたトンバイ塀が。廃材の中でもいい所を選んで作られたそうで、よく見かける内山のトンバイ塀とはまた雰囲気が違って見えました。
中には、昭和40年代からこれまで参考資料として日本各地のみならず、東南アジアやヨーロッパなど世界各地から集めた作品の数々が展示されています。
一階には輸出古伊万里を中心に、二階には有田町内で出土した陶片などが年代や場所別に展示されています。
発掘された青磁の陶片ひとつひとつにも、ストーリーがあるとの事で、中国にあやかって陶器ベースのように見せるために高台の色を変えたという興味深いエピソードや、時代によってお皿のデザインの流行や技術力の違いなどが分かりやすく展示されており、有田焼の歴史がギュッと詰まった資料館でした。
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こちらも土間作りの作業場で職人さんの作業を間近で見ることができました。
削りの作業や絵付け、釉薬かけなどをぐるりと一箇所で見ることができ、まるで「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」の中に入ったような気分を味わえました。
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