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【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝

2021年03月08日

有田観光協会 at 13:24  | 窯元探訪・やきもののお店訪問
皆様に有田の窯元・やきもののお店をご紹介する【窯元探訪・やきもののお店訪問】。
今日は、有田町中樽にある『ギャラリー花伝』をご紹介します。

「ギャラリー花伝」では世界を魅了した明治伊万里と言われる明治期に作られた有田焼の展示販売やオリジナル商品の製造販売をされています。
【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝

社長の蒲地 孝典さんは2000年まで賞美堂本店の社長を務められていました。
蒲地さんは明治伊万里研究家で、かつて欧米に渡った「明治伊万里」を”里帰り”させ、展示販売も行ってらっしゃいます。また伝統美を現代に合わせてデザインした器もオリジナルで制作され、販売しています。ギャラリー花伝の「花伝」とは世阿弥が記した能の理論書、風姿花伝(ふうしかでん)が由来だそうです。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
ギャラリーには“里帰り”した明治伊万里の作品がずらりと並んでいます。
【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
奥様の蒲地 あき子さんによるテーブルコーディネートで有田焼が引き立つ、とてもオシャレな空間です。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
こちらは幕末から明治期の製陶作業を描いた色絵の大皿「色絵画賛付製陶之図大皿」酒井田柿右衛門作の直径約61センチの大皿です。
有田焼の制作工程を描いた染付の「職人尽くし図」の色絵版ともいえる作品です。
上部の画賛には古文書にも登場する高原五郎七の名が記されています。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
色絵で生き生きとした職人、動物や子供たちまでが細かく描かれていて物語のように思わず見入ってしまいます。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
特別に裏面を見せていただきました。酒井田柿右衛門製の文字と商標として使っていた「渦福」が描かれた柿右衛門の銘が入っています。こちらも里帰りしてきた銘品です。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
こちらにはオリジナル製品も並んでいます。伝統工芸士によって有田焼ならではの伝統美を再現したうつわもあります。
染付けの作品の模様ひとつひとつにも、意味が込められていて様式美と共に物語性も楽しめます。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
「染付蜂龍図盃(そめつけはちりゅうはい)」はその名の通り蜂と龍の描かれた酒器です。
蜂は「さしつさされつ」龍は「龍のごとく呑む」を表しているそう。
透けるような薄い生地に繊細な染付で描かれた龍と蜂がとても素敵です。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
「色絵花弁紋カップ&トレー」
シンプルな花弁が描かれた、斬新な形をしている受け皿が特徴、プチケーキやスコーンなど、お菓子を一緒に置くことができる機能的なデザインです。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
蒲地さんの先祖でもある「松尾窯」で製作された有田焼のタイル。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
有田で最初に作られたタイルとも言われていて、長崎県佐世保市にある世界文化遺産の構成資産、黒島の黒島天主堂の祭壇に敷き詰めてあるタイルと同じものだそうです。この文様は十字架にイチジクとナツメヤシの葉を図案化したそうです。
そのデザインを再現されたものとして「染付十字紋マグカップ」などもありました。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
こちらは「インテリア寿壺」、生前からインテリアとしても飾っておける有田の伝統美をあしらった骨壺です。とても繊細な山水画が描かれています。
手元に置いておける小さめの手元供養壺(ミニ骨壺)。骨壺を入れる箱には同じ文様のタイルが埋められたウォルナット製の木箱とセットになっています。

また、サロンでは奥様の蒲地 あき子さんが「花伝塾」を開講されています。暮らしの彩りをテーマに「楽茶」と名付けられ、日本のおもてなし文化を始め様々な暮らしのレシピを伝授されています。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
サロンでは日本茶と東方美人という中国茶を淹れていただきました。
こちらでは明治伊万里深川製のお皿が使われています。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
茶器として使われている片口は本来は酒器として使われるものですが、用途を限定して使うのではなく自由な発想で、見立て使いと言う、本来の用途とは異なる用途に使うという、方法も提案されています、

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
ギャラリー内に生けられている草花もお庭に生えているお花や野草を使われています。
新しくそのために買うのではなく、家にあるものを使っておもてなしをする方法を「花伝塾」では伝授されています。「今あるものを丁寧に使う事が大事」と蒲地さん。
お茶のおもてなしのきっかけは焼き物の源流はどこか?を調べられていた際、お茶とうつわは密接な関係にあると知ってから、お茶を勉強され始めたそうです。台湾、中国など様々なお茶がありますが日本茶も中国茶も紅茶も元は同じお茶として考え、堅苦しくせず、楽しくお茶の時間を過ごせるよう「楽茶」というおもてなしを考えられたとの事。

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
先程の「染付蜂龍図盃(そめつけはちりゅうはい)」もお茶に使われています。使っているうつわの文様の意味や逸話などを知ると、よりお茶の時間が楽しめそうです。

「有田は焼き物だけでなく有田の豊かな自然にも目を向け、こういう所があるから有田で美しい焼き物ができたと知ってほしい」と蒲地さん。
有田の伝統美を実際に手に取って感じてみたり、有田焼でのおもてなしと新しい楽しみ方を体験されてみてはいかがでしょうか?

【やきもののお店訪問:49】ギャラリー花伝
本日は、「ギャラリー花伝」の 蒲地 孝典さん、蒲地 あき子さんにお話を伺いました。

「ギャラリー花伝」
〒844-0002
佐賀県西松浦郡有田町中樽3-8-22
TEL:0955-43-3183
E-mail: info@touzaikokon.com
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休
開館日:週末開館 (金・土・日曜日)
https://www.gallery-kaden.com/
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