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【窯元探訪:38】福珠窯

2021年01月19日

有田観光協会 at 17:00  | 窯元探訪・やきもののお店訪問
皆様に有田の窯元・やきもののお店をご紹介する【窯元探訪・やきもののお店訪問】。
今日は有田町の東部中樽にある『福珠窯』をご紹介します。
【窯元探訪:38】福珠窯
『福珠窯』は創業65年、14年ほど前に現在の場所に工房とショップを開店されました。現在は三代目である福田雄介さんが受け継がれており、伝統をベースにしながらも、モダンさを感じるデザインが溢れる工房&ショップです。
【窯元探訪:38】福珠窯
『福珠窯』は自然がいっぱいの中樽にある森に向けて「ピアッツア」(イタリア語で広場の意)を持つというコンセプトで工房や店舗が配置されていて、オシャレな空間が目の前に広がります。看板に使われているお皿たちの構成も素敵です。

階段を降りると目の前に工房、ギャラリー、アウトレットショップがあります。【窯元探訪:38】福珠窯【窯元探訪:38】福珠窯
ギャラリーの入口の壁には磁器で作られたベーグルや箸置き、小皿が小箱に入ったアートもあり思わず写真を撮りたくなってしまいます。

工房前には有田焼の工房で昔からやすりとして使われている、トクサが植えられていて、植物にも有田らしさを感じました。よく「十草柄」といった模様のモチーフにもなっています。
【窯元探訪:38】福珠窯

ギャラリーは木のぬくもりが感じられる室内です。
【窯元探訪:38】福珠窯【窯元探訪:38】福珠窯
伝統的な模様と独自の形状、独自の呉須と柞灰釉(いすばいゆ)による柔らかな染付が特徴的です。創業当時より全て手描きにこだわってこられました。

その中でも、ひときわモダンさを感じる染付と銀彩の器が並んでいました。
【窯元探訪:38】福珠窯

柔らかい藍色と派手すぎない落ち着いたマットな銀色のコントラスト、色的にはクールな組み合わせなのにどこかやわらかく感じるのは、その色と器の形の絶妙な組み合わせ。

例えば綺麗な円形の縁を綺麗に作るとカチッとした印象になってしまうのですが、なだらかな温かみのある曲線に仕上げると、それにより柔らかい印象がつくとのこと。曲線ひとつでも全体の印象が変わるのは手作りのこだわりならではです。

ギャラリーの一角には製法の工程の見本が置かれていました。
【窯元探訪:38】福珠窯
伝統的な作り方と共に、現在は原型を作るのにRhinoceros(ライノセラス)という3Dツールや3Dプリンターなど、デジタル技術も取り入れられ、制作されています。サイズ感などが実際の仕上がりになるように制作し、3Dで表現できない細かい部分を仕上げる際は直接調整します。400年続く有田焼の技術は時代と共に常に変化していくのだな…とリアルに実感できる話でした。

【窯元探訪:38】福珠窯
こちらは第115回有田国際陶磁展で経済産業大臣賞(最高賞)を受賞した
「染付銀欄手古伊万里松竹梅9寸平皿」(左)
「金襴手古伊万里松竹梅」 (右)の絵柄を染付と銀彩のみのツートーンで再配色。
染付×銀との組み合わせを取り入れた作品です。
「染付銀欄手古伊万里松竹梅」は「金襴手」の色合いを単に色調変換だけはなく、金襴手の華やかさを残すよう赤から銀の二色をどう変換するか、ここでもデジタルを使って色合いの調整を試行錯誤されたとの事。

【窯元探訪:38】福珠窯
洋食向けのプレートタイプと丸皿の二種がありました。
和と洋のギャップを楽しんでもらうためにあえてプレートタイプにデザインされたそう。
伝統美と現代のライフスタイルのマッチングから生まれたデザインです。

【窯元探訪:38】福珠窯
こちらは新作の「六角片口酒器」。
それぞれ伝統的な模様と、六角形の形がオシャレな酒器です。
注ぎ口の形状にこだわることでキレよく注げるようになっています。
【窯元探訪:38】福珠窯
また、酒器を重ねた時になるべく傾かないよう、六角形の大きさや口の位置にも調整に調整を重ねたとの事で、オシャレかつ機能的なデザインです。

もう1つの新作は「スープマグ」
広くて大きなスープマグはたっぷり入るので具だくさんのスープなどにぴったりです。
【窯元探訪:38】福珠窯【窯元探訪:38】福珠窯
なだらかな縁がふんわりとしていて温かみを感じます。
こちらも取っ手の部分が重ねやすいように調整されていて機能的。
是非、ギャラリーでその柔らかな曲線をご覧ください。

【窯元探訪:38】福珠窯【窯元探訪:38】福珠窯
蔵をテーマにデザインされたアウトレットショップにはびっしりとお茶碗・深型ボウルなど普段使いしやすい器たちが並んでいます。どの器も素敵すぎてどれにしようか迷ってしまいます。
【窯元探訪:38】福珠窯

お客様も安心してお買い物できるようにギャラリーやアウトレットショップは
新型コロナウイルス対策をしっかり取られ、現在は少人数で営業されています。
「是非、安心してお買い物をお楽しみください」との事でした。

絵付け工房の見学は現在非公開ですが、今回特別に見学させて頂きました。
【窯元探訪:38】福珠窯
現在は三名の絵付職人さんが制作されています。
ダミ筆から面相筆まで沢山の筆がびっしりと並んでいます。
【窯元探訪:38】福珠窯
化繊やタヌキ・イタチの毛を使った筆など、絵の具や用途に応じて素材も様々です。イタチ面相は私も使ったことがありますが普通の面相筆とは絵の具の伸びが全然違います。

職人さんの技術は更に繊細さとスピードが求められます、絵付け職人は一見華やかだけれど過酷、修行に長い時間がかかるため、常に不足していると福田さんはおっしゃっていました。そして現代に合わせたモノ作りを構築しないと技術は残せない。とのこと

デザインや技術的なモノ作りの精神は、歴史や伝統から学ぶものに終わりがない、答えはない。とはよく言われますが「福珠窯」は常に時代に合わせたデザインを形にした、現代に合ったモノ作り精神そのものだと感じました。
【窯元探訪:38】福珠窯
本日は「福珠窯」社長の福田雄介さん にお話をお伺いしました。

「福珠窯」
佐賀県西松浦郡有田町中樽2-30-16
TEL:0955-42-5277
営業時間:11:00~17:00
定休日:不定休
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