【窯元探訪:36】金ヶ江両右ェ門窯
皆様に有田の窯元・やきもののお店をご紹介する【窯元探訪・やきもののお店訪問】。
今日は『金ヶ江両右ェ門窯』をご紹介します。

『金ヶ江両右ェ門窯』は、有田町上内野にある窯元です。店舗は有田駅の近くにあります。
金ヶ江両右ェ門窯の歴史は大変古いそうで、代々受け継がれてきた掛け軸にも記されてあります。
専門家によると、この掛け軸は江戸時代に福岡県にあった秋月藩のお抱え絵師である齋藤秋圃氏によって描かれたものだそうで、刻印も残っています。陶工であった金ケ江家一族の十名が酒を酌み交わしている絵とのことです。

今回、金ヶ江両右ェ門窯で、毎年恒例の「くらしを楽しむ器展」が開催されていると聞き、お邪魔しました。
「くらしを楽しむ器展」は、ギャラリーのある本町ではなく、工房があるご自宅で開催されています。

新型コロナウイルスの感染予防の観点から、完全予約制にされており、午前中1組、午後1組のお客様のみお迎えするという徹底した予防対策をとられています。お得意様を中心に、規模を縮小して開催されているとのことでした。
ご自宅のギャラリーでは約500点の商品が並んでおり、これまで開催してきた器展の中で一番品数が多いということでした。
器展に来られたお客様からは、安心して器展が楽しめたなどの声を頂き、来場されたお客様が他のお客様を連れてこられ、口コミでお客様の輪が広がっているそうです。
新型コロナウイルスの影響で、イベントが少なくなっている今、今回の器展はイベントの新しい形のひとつなのかもしれません。
「くらしを楽しむ器展」は9月30日(水)まで開催中です。

金ヶ江両右ェ門窯は、窯独自の伝統的な作風といったものはなく、その当時の当主の好みで作風を変える、歴史ある窯元には珍しい個々の作りたいものを重視している窯元だそうです。
現在17代目である金ヶ江祥晃さんは、窯を受け継いだ当初は磁器を制作していたそうですが、ろくろ制作から完成まで全てを自分一人で制作したいという気持ちと、予測できないやきものを制作したいという想いに駆られ、窯変の陶器制作へと移行されたそうです。
「窯変は、ある程度出来上がりを予想して制作するんですが、土や釉薬の違い、窯の中の位置取り、火の調節などで想定外の色合いが出るんです。毎回新鮮な驚きがありますね。」と魅力を語る金ヶ江さん。窯から出すまでどのような出来になるのかわからないという面白さがあるといいます。
窯変の変化がどのようなものなのか、下の画像のやきものを見るとわかります。これは、同じ釉薬で焼いたものだそうです。

窯から出した時の色合いは、赤と水色。窯の中の位置取りや火入れの加減でここまで違う色合いが出ることに驚きました。
更に、下の画像は同じ釉薬、同じ土で制作したものだそうです。左の器には複雑な模様が浮き出ています。
「もう同じような器はなかなかできないんじゃないかと思いますよ。奇跡的に生まれた作品です」と金ヶ江さんは言います。
窯変は、コントロールがとても難しく、思った通りに仕上がる率が低いそうです。"偶然の奇跡"といわれるほどで、2つとして同じ色合いのものはありません。

金ヶ江さんの窯変へのチャレンジは、"天目(てんもく)"から始められ、"辰砂(しんしゃ)"、現在取り組まれているのは"結晶釉(けっしょうゆう)"だそうです。
新しい釉薬は調整が難しく、まだ安定していないとのことでしたが、夏らしく爽やかな色合いのこちらの商品は大変好評だそうです。

この六角形の形状は、お客様からの要望から和菓子用の器を制作した際にできたものだそうです。お客様の提案を基に、形をアレンジして作られたもので、初めての試みだったそうですが、和にも洋にも合う器となり、展示会では一番の人気商品となっています。

お客様の要望からできたもう一つの器が、こちらの猫の形の皿です。
近年の猫人気もあり、お客様の中には、一度に数十枚買い求められる方もいらっしゃったそうです。
釉薬が猫のぶち模様とマッチして可愛らしい商品ですね。今後この猫の皿はシリーズ化していく予定だそうです。
新型コロナの影響で、家にいる時間が増えた現在、日々の暮らしを大切に考えている方が増えてるように感じます。
毎日使う食器においても、自分が本当に使いたい物をセレクトされ、大切に使おうという方が増えているようです。
金ヶ江両右ェ門窯を訪れたお客様の中にも、自分へのご褒美として器を使いたいと購入される方や、良い器でお茶を飲んだら味が違うと言って、食器を大切に使ってくださる方が多いといいます。

「お客様の声を直接聞ける形で展示会を開けたのはうれしいですね。お客様に有田の歴史や、やきものの事を知ってもらえたり、逆に、お客様の意見やリクエストの中から自分の作品の中にヒントが生まれたりします。」
これからの時代は、インターネットでの販売も手掛けていくべき事とおっしゃる上で、それでも今回の展示会で、得られたものが多かったという金ヶ江さん。
会話の中で、作り手と買い手の距離を縮めることで互いの理解が深まって良い効果が得られたとおっしゃいます。
今後も器展を時代に合った形で続け、有田の良さを知ってもらうために、今できる最大のことを前向きに取り組む姿が印象的な取材となりました。
本日は、17代目当主の金ヶ江祥晃さんにお話を伺いました。

金ヶ江両右ェ門窯
【有田本町店】
佐賀県西松浦郡有田町本町丙1061-3
TEL:090-2510-2717
【工房・自宅展示室】
佐賀県西松浦郡有田町上内野丙3586-5
TEL:0955-46-3835
営業時間:10:00~16:00
定休日:不定
今日は『金ヶ江両右ェ門窯』をご紹介します。
『金ヶ江両右ェ門窯』は、有田町上内野にある窯元です。店舗は有田駅の近くにあります。
金ヶ江両右ェ門窯の歴史は大変古いそうで、代々受け継がれてきた掛け軸にも記されてあります。
専門家によると、この掛け軸は江戸時代に福岡県にあった秋月藩のお抱え絵師である齋藤秋圃氏によって描かれたものだそうで、刻印も残っています。陶工であった金ケ江家一族の十名が酒を酌み交わしている絵とのことです。

今回、金ヶ江両右ェ門窯で、毎年恒例の「くらしを楽しむ器展」が開催されていると聞き、お邪魔しました。
「くらしを楽しむ器展」は、ギャラリーのある本町ではなく、工房があるご自宅で開催されています。
新型コロナウイルスの感染予防の観点から、完全予約制にされており、午前中1組、午後1組のお客様のみお迎えするという徹底した予防対策をとられています。お得意様を中心に、規模を縮小して開催されているとのことでした。
ご自宅のギャラリーでは約500点の商品が並んでおり、これまで開催してきた器展の中で一番品数が多いということでした。
器展に来られたお客様からは、安心して器展が楽しめたなどの声を頂き、来場されたお客様が他のお客様を連れてこられ、口コミでお客様の輪が広がっているそうです。
新型コロナウイルスの影響で、イベントが少なくなっている今、今回の器展はイベントの新しい形のひとつなのかもしれません。
「くらしを楽しむ器展」は9月30日(水)まで開催中です。


金ヶ江両右ェ門窯は、窯独自の伝統的な作風といったものはなく、その当時の当主の好みで作風を変える、歴史ある窯元には珍しい個々の作りたいものを重視している窯元だそうです。
現在17代目である金ヶ江祥晃さんは、窯を受け継いだ当初は磁器を制作していたそうですが、ろくろ制作から完成まで全てを自分一人で制作したいという気持ちと、予測できないやきものを制作したいという想いに駆られ、窯変の陶器制作へと移行されたそうです。
「窯変は、ある程度出来上がりを予想して制作するんですが、土や釉薬の違い、窯の中の位置取り、火の調節などで想定外の色合いが出るんです。毎回新鮮な驚きがありますね。」と魅力を語る金ヶ江さん。窯から出すまでどのような出来になるのかわからないという面白さがあるといいます。
窯変の変化がどのようなものなのか、下の画像のやきものを見るとわかります。これは、同じ釉薬で焼いたものだそうです。

窯から出した時の色合いは、赤と水色。窯の中の位置取りや火入れの加減でここまで違う色合いが出ることに驚きました。
更に、下の画像は同じ釉薬、同じ土で制作したものだそうです。左の器には複雑な模様が浮き出ています。
「もう同じような器はなかなかできないんじゃないかと思いますよ。奇跡的に生まれた作品です」と金ヶ江さんは言います。
窯変は、コントロールがとても難しく、思った通りに仕上がる率が低いそうです。"偶然の奇跡"といわれるほどで、2つとして同じ色合いのものはありません。


金ヶ江さんの窯変へのチャレンジは、"天目(てんもく)"から始められ、"辰砂(しんしゃ)"、現在取り組まれているのは"結晶釉(けっしょうゆう)"だそうです。
新しい釉薬は調整が難しく、まだ安定していないとのことでしたが、夏らしく爽やかな色合いのこちらの商品は大変好評だそうです。

この六角形の形状は、お客様からの要望から和菓子用の器を制作した際にできたものだそうです。お客様の提案を基に、形をアレンジして作られたもので、初めての試みだったそうですが、和にも洋にも合う器となり、展示会では一番の人気商品となっています。

お客様の要望からできたもう一つの器が、こちらの猫の形の皿です。
近年の猫人気もあり、お客様の中には、一度に数十枚買い求められる方もいらっしゃったそうです。
釉薬が猫のぶち模様とマッチして可愛らしい商品ですね。今後この猫の皿はシリーズ化していく予定だそうです。
新型コロナの影響で、家にいる時間が増えた現在、日々の暮らしを大切に考えている方が増えてるように感じます。
毎日使う食器においても、自分が本当に使いたい物をセレクトされ、大切に使おうという方が増えているようです。
金ヶ江両右ェ門窯を訪れたお客様の中にも、自分へのご褒美として器を使いたいと購入される方や、良い器でお茶を飲んだら味が違うと言って、食器を大切に使ってくださる方が多いといいます。

「お客様の声を直接聞ける形で展示会を開けたのはうれしいですね。お客様に有田の歴史や、やきものの事を知ってもらえたり、逆に、お客様の意見やリクエストの中から自分の作品の中にヒントが生まれたりします。」
これからの時代は、インターネットでの販売も手掛けていくべき事とおっしゃる上で、それでも今回の展示会で、得られたものが多かったという金ヶ江さん。
会話の中で、作り手と買い手の距離を縮めることで互いの理解が深まって良い効果が得られたとおっしゃいます。
今後も器展を時代に合った形で続け、有田の良さを知ってもらうために、今できる最大のことを前向きに取り組む姿が印象的な取材となりました。
本日は、17代目当主の金ヶ江祥晃さんにお話を伺いました。
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【有田本町店】
佐賀県西松浦郡有田町本町丙1061-3
TEL:090-2510-2717
【工房・自宅展示室】
佐賀県西松浦郡有田町上内野丙3586-5
TEL:0955-46-3835
営業時間:10:00~16:00
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