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【窯元探訪:26】青木龍山窯

2020年07月04日

有田観光協会 at 09:00  | 窯元探訪・やきもののお店訪問
皆様に有田の窯元・やきもののお店をご紹介する【窯元探訪・やきもののお店訪問】。

今日は『青木龍山窯』をご紹介します。
【窯元探訪:26】青木龍山窯

有田町外尾山に『青木龍山窯』展示場があります。
【窯元探訪:26】青木龍山窯 【窯元探訪:26】青木龍山窯
美しい中庭を抜けて2階の展示場へ。
展示場には青木龍山氏、清高氏、清晃氏の親子孫三代の作品が展示されています。
【窯元探訪:26】青木龍山窯 【窯元探訪:26】青木龍山窯


青木龍山氏は、昭和28年から作家として活動をされていますが、青木家は1600年代中頃より窯焼きに携わっていたと文献に残されています。
有田町でのやきものの作家として草分け的存在である青木龍山氏の代表作は"天目"作品ですが、昭和29年の第10回日展に初出品で初入選という快挙をなしとげた際の作品は染付だったそうです。
その作品がこちらの「花紋染付大皿」です。
【窯元探訪:26】青木龍山窯
その後、昭和38年に天目「黒」を制作。天目作品へと制作を移行されたそうです。その当時、白磁の町、有田で「黒」を作るという発想がなく、周りには大変驚かれたそうで、有田の異端児とも呼ばれたそうです。

【窯元探訪:26】青木龍山窯 【窯元探訪:26】青木龍山窯
昭和48年には、日本現代工芸美術展において文部大臣賞を受賞した「豊延」をはじめ、龍山氏は黒を追い続け、様々な表現方法にチャレンジし、その後も数々の素晴らしい賞を受賞されました。日展の審査主任も務められ、平成17年には文化勲章を受章。その名を今も語り継がれる人物です。
【窯元探訪:26】青木龍山窯 (撮影/峰松忠二)
龍山氏は弟子をとることがなく、制作の一から十まですべてを自分の手で行うというこだわりがあり、長男である清高氏に対しても自分の作品には手を入れさせなかったといいます。
また、龍山氏にとって清高氏は良きライバルであったのだとか。親子でありライバル。互いが実力を認めてこその関係です。
そんな龍山氏は、晩年になってはじめて清高氏に天目制作を促したそうです。

【窯元探訪:26】青木龍山窯 
龍山氏の長男である清高氏は、清六窯の故・中村清六氏の元でろくろを勉強し、天目制作を経て"青磁"に情熱を傾けました。
青磁を作るきっかけとなったのは、萩焼を制作されている先生だったそうです。"自分の色を見つけてみろ"との言葉に青磁制作へと移行されたそうです。
1984年(昭和59年)より日展、日本現代工芸美術展を中心に公募展に出品し、日展評議員、現代工芸美術家協会理事を務められました。
自分で全行程制作しないと納得したものができないと、清高氏もまた、ひとりで制作をこなす人物でした。
自分の作品に厳しく、晩年になり、やっと自分の納得できるものが作れるようになったとおっしゃっていたそうです。

【窯元探訪:26】青木龍山窯 【窯元探訪:26】青木龍山窯

そんな祖父と父を持つ清晃さん。青木龍山窯の現当主です。
お二人に対しては「偉大な祖父と父です。」と、尊敬の念を抱く謙虚な姿が印象的でした。

清晃さんは、祖父・青木龍山氏と同じく天目を制作されています。
現代の名工に選定された奥川俊右ェ門氏にろくろを学ばれ、大物制作にも精進されています。
「今の何十倍も綺麗なものを作っていきたい。」天目の黒の輝きと、形の美しさを追求したいと語る清晃さん。
自分が納得するまで美を追い続ける性分は、龍山氏、清高氏から受け継いだものなのでしょう。
「父の気持ちが分かります。失敗したら、どこがダメだったのか自分で全てを作らないとわからない。そうしないと納得できる作品は作れないんです。」
清晃さんもやはり、作品制作はひとりで全て手掛けたいと語られます。

自分のやきものに対して真摯に向き合って究(きわ)めていきたいと考えるその姿にやはり青木家の横顔を見た気がしました。

本日は、窯主の青木清晃さんにお話を伺いました。
【窯元探訪:26】青木龍山窯 (Photo by SHOKO OGUSHI)


青木龍山窯
佐賀県西松浦郡有田町外尾山丙1579-10
TEL:0955-42-3272
営業時間:10:00~17:00 ※要電話予約
定休日:不定




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