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【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館

2021年07月12日

有田観光協会 at 10:00  | その他
有田を観光する際に、史跡の解説や有田に関する豆知識などをより楽しくディープに知ることができる
有田観光協会の「観光まちなかガイド」。
定期的に行われている、観光ガイド研修の様子をレポートします。

今回の第3回は国の「重要伝統的建造物群保存地区」についての座学と、国指定重要文化財の「旧田代家西洋館」の研修です。

「重要伝統的建造物群保存地区」に内山地区の建物や町並みの保存の制度について有田町役場の文化財課の旗島さんよりお話を伺いました。
【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館
「重要伝統的建造物群保存地区」とは伝統的建造物群と歴史的な町並みを形成している環境を保存するために市町村からの申請を受けて我が国にとって価値が高いと判断したものを国が選定しているものです。
内山地区の町並みは、磁器生産の中核地として江戸期から昭和初期まで、和風から洋風まで様々な景観を見ることができます。

今の内山地区の町並みの形になるまでに大きくふたつの出来事がありました。
1つは窯の火が台風であおられて内山地区のほとんどが焼失したという「文政の大火(1828年)」の大火復興後の町並みが基盤となったこと。
2つめが昭和3年~7年に行われた表通りの拡幅工事で道幅が約10mほどに拡幅され、不揃いだった町並みの壁面線を軒切りや家屋を壊さずにそのまま家ごと移動させる、曳家(ひきや)によって整えられ、今の姿になりました。

また、現在の建物がどうやって保存されたのか、具体的な修理についても写真を見ながら解説していただきました。
修復や修復作業中に出てきた柱の跡や古写真から元の家屋の姿に復元する事もあるとの事で、古写真にあった窓の位置や、建物の元の色を復元するなど、今の内山地区がいかにして保存、修復されてきたのが分かりました。

座学で重要伝統的建造物群保存地区について学んだあとは、国指定重要文化財の「旧田代家西洋館」へ。

【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館
「旧田代家西洋館」は有田の豪商であった田代助作が明治9年に陶磁器を買い付けに来た外国商人の宿泊・接待施設として建築されました。
一見すると、ライトグリーンの柱や二階のベランダは洋風ですが、瓦屋根や漆喰の壁という和洋折衷な建物です。
長崎の出島をはじめとした日本に住む外国人の洋風住居を建てた技術者から学んで作られたとの事。
普段は土・日・祝日のみ開館され、陶器市期間中と秋の有田陶磁器まつりの期間中は開放されています。

【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館
残念ながら昨年の豪雨により右側の壁が崩れてしまっていて現在はブルーシートで保護されています。
旗島さんがブルーシートの下が現在どうなっているのかちょっとだけ見せて下さいました、漆喰が崩れた中身が見えていて土壁と竹でできているのが分かります。
国指定重要文化財のため修理をするには文化庁への申請や専門の資格を持った技術者でないと修理ができないそうで、8月に工事の予定だそうです。

【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館
内部は木製のらせん階段やアーチ型の窓のステンドグラスがあり洋風ですが、床は畳敷きです。
ピカピカに磨かれたらせん階段の装飾もとってもオシャレです。
最近では結婚式の前撮り写真を撮られる方もいらっしゃるそうです。

【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館
らせん階段を登った二階には畳敷きの広間が。秋の陶磁器まつりの時には有田焼の花器を使った生け花の展示が開催されています。

【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館
また天井のシャンデリアの磁器製の笠も必見です。これはろうそくのすすよけで、鮮やかな色絵が綺麗です。

【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館
解体調査中に見つかった壁紙や、壁紙の模様を作る木版も展示されていました。壁紙の模様は田代家の田の字と田代家の家紋がデザインされています。これでパターンを作っていたんですね。

【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館
二階窓から見た向かいに見えるのは深川製磁本店。写真だけで見ると別の町のようにも見えますね。
西洋館の向かいにはかつて田代家の本宅があったそうで、食事をふるまったりする際は本宅から料理を運んで来ていたそうです。

【ガイド研修講座第3回】重要伝統的建造物群保存地区・旧田代家西洋館
らせん階段の裏側にはなんと当時の落書きが。唐草模様でしょうか?植物の絵にも見えます。
落書きといっても、とてもなめらかで綺麗なラインで描かれていて、凄く絵の上手い方が描かれたようです。

その他にも一階には田代家が扱っていた当時の有田焼の製品や、西洋館の図面など興味深いものが沢山展示されていますので是非ご覧ください。

今回は重要伝統的建造物群保存地区の保護や修復、町並みの形成などについて学ぶ事ができました。
解説していただいた、建物の木製の窓枠や、製鉄産業時代に作られた鉱滓(こうさい)煉瓦など、実際に歩いて見つけて解説できるようになりたいです!

ちなみに…「電車で出張から帰ってくるときに煙突や町並みが見えてくると「ああ、有田に帰ってきたな」と思う」と旗島さんがおっしゃっていましたが、私も全く同じように思っていたので、誰もが愛着が湧く風景なんだなぁと改めて思わされました。これからも大事にしていきたい風景ですね。
観光にいらっしゃった際は是非、車窓から有田ならではの風景にも注目していただきたいです。

次回は李参平窯・天狗谷窯跡・陶祖李参平の碑…という事で、
有田焼の陶祖李参平に関する情報がぎゅぎゅっと詰まったプチ登山…?の予感です!














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