皆様に有田の窯元・やきもののお店をご紹介する【窯元探訪・やきもののお店訪問】。
今日は有田・波佐見焼の食器を取り扱うセレクトショップ『貴好人』をご紹介します。

上有田駅の高架下から続く「トンバイ塀通り商店街」。有田の伝統的な町並みが続くこの通りの一角に店舗を構えます。
一歩足を踏み入れると、木の温もりを感じる店内にずらりと並ぶカラフルな食器たち。思わず「かわいい～」と声が出ます。
出迎えて下さったのは、オーナーの尾崎英子さん。お店の雰囲気と同じやわらかなオーラが印象的です。さっそくお話を伺いました！



～オープンのきっかけは「お客様の声を聞きたい」～
今年でオープンから8年目を迎える貴好人。「有田焼」や尾崎さんの地元・波佐見町の「波佐見焼」など、肥前地区の窯元の商品を取り扱っています。
「本社は長崎にあり、本業は業務用食器の卸販売です。代々肥前地域の窯元数十社と日々お取引があります。長い間お店と同名のカタログ販売を行っていましたが、お客様の声を実際に聞くことのできる環境を作りたいと、実店舗も構えることにしました。」
現在はオンラインショップでの通販と併せて、店頭には尾崎さんご自身がセレクトされた商品が並んでいます。実店舗ならではのコンセプトはありますか？
「女性のお客様が多いので、母娘が一緒に使えるようなデザインを意識しています。親世代も子世代も「可愛い」と思える器を選ぶようになりました。」
確かに、若い方にも人気のありそうなモダンなデザインが多いです。世代を越えて愛されることで、器を長く大切にすることにも繋がりますよね。
「デザイン性に加えて、クオリティも高く長く使えるものをセレクトしています。若い方にとっては少し値が張るかもしれませんが、有田・波佐見焼ならではの上品な質感に価値を感じてもらえたら嬉しいです。」




～リアルショップを通じて感じた”心が通う”感覚～
贈り物としての食器を選びに来るお客様も多いのだそう。接客販売を通じて、お客様の器への情熱に驚かされたと言います。
「波佐見の窯元育ちの私にとって陶磁器のある生活は当たり前でした。たった1つの器でも、時間をかけ真剣に選ぶお客様の姿を見て、1人1人に寄り添った接客を心掛けるようになりました。」
お店の雰囲気を楽しみたい観光のお客様にはさりげなく、プレゼントに悩むお客様には親身に。対面だからこそ分かるお客様の空気感、そしてそのお客様と心が通う感覚が嬉しい、と尾崎さんは言います。
お客様の組み合わせる器のコーディネートに驚かされることもしばしば。「この組み合わせも意外とありだな！」と新たな発見に繋がるのだそうです。
そこから得たヒントをお店づくりに活かすことも。テーブルウェアとしてコーディネートを提案するディスプレイも貴好人の特徴です。

　

～有田ブランドが支えるお客様との信頼関係～
一方、昨年2020年は新型コロナウイルスが流行し、リアルでの接客が思うようにできない1年でもありました。有田陶器市が「web陶器市」として初めてオンライン開催になった際、応援し励ましてくれたのが、有田焼を愛するお客様たちです。
「ずっと大事に使います。」「丁寧な梱包をありがとう。」そんなお客様からの反応に感動し、例えリアルで会えなくてもハートフルな信頼関係は続くのだと実感したそうです。
「これまで培ってきたお客様との関係性の賜物ですね」という感想に、「私ではなく、確実に良いものをお届けするという”有田”のスタンダードのおかげです。」と謙虚に答える尾崎さん。
これまで有田の伝統を守ってきた職人・商人たちが地道に積み上げてきたものが、有田焼とお客様を繋ぐ信頼関係を支えているのだといいます。

自分自身のお話より、お客様のことや有田焼に携わる人々のお話を楽しそうに語る尾崎さん。そのお人柄や人を愛する気持ちが、お店に広がる温かな空気感をつくっているのだと、今回の取材を通じて感じました。
ぜひ「貴好人」で食卓と心を彩るやきものを探してみてはいかがでしょうか。

尾崎さんありがとうございました！


「貴好人」
佐賀県西松浦郡有田町上幸平１丁目１−４
HP: https://www.kikoujin.jp/
Instagram: @select_shop_kikoujin
Twitter: @kikoujin