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【窯元探訪:39】松尾錦工房

2021年01月21日

有田観光協会 at 11:30  | 窯元探訪・やきもののお店訪問
皆様に有田町の窯元やお店をご紹介する【窯元探訪・やきもののお店訪問】。
今回は有田町白川にある『松尾錦工房』をご紹介します。

工房の入口には手作りの看板と陶板が付けられています。
【窯元探訪:39】松尾錦工房【窯元探訪:39】松尾錦工房

松尾錦工房は創業70年、上絵付けの専門の工房です。
赤絵師の「松尾 嘉之」さんは家業を継がれる前はデパートで勤務され36年ほど前に家業を継がれたそうです。普段は様々な窯元や商社からの注文を受けられたり、オリジナルの制作をされるほか、イベントなどでワークショップを開き、幼稚園生から高校生、そして大人まで、様々な場所で絵付けを教えられています。2016年に有田焼創業400年を記念して、町内の小学生から大学生までが参加して、4000個の碗灯に絵付けをした事業の中でも小学生から高校生までの絵付けの指導をされたそうです。

【窯元探訪:39】松尾錦工房【窯元探訪:39】松尾錦工房
出張絵付けを始めたきっかけは知人からの紹介だそうですが、元々は高校生の時に東京に行ったときに「佐賀から来た」というより「有田から来た」と言うと、東京の人が分かってくれて「佐賀はどこかわからなくても有田って言ったら通用する、有田って凄い」と思って以来、もっと有田をいろんな人に知ってもらいたいと思った事が最初の大きなきっかけになったそうです。

「自分で絵付けの体験をすれば、誰でも最低15分は有田の話ができるようになる」と、見るより、まず体験してほしいとの事。
有田だけではなく東京の銀座や全国のショッピングモール、外務省飯倉公館で世界の駐日大使100人に絵付け体験を指導されたこともあるとか (!) とにかくアクティブに活動されています。

工房の棚には様々な上絵の材料が並んでいます。
【窯元探訪:39】松尾錦工房【窯元探訪:39】松尾錦工房

水で溶いた絵の具が、絵付けの際にはグレーでも、焼くと緑になったりするため、
見本はもちろん、焼き上がりの発色を想像しながら細かく絵付けしていきます。

【窯元探訪:39】松尾錦工房

びっしりと描き込まれた青海波(せいかいは) 模様。内側の底までびっしり細かく描ける人はそうそういないという、これも熟練の成せる技です。

【窯元探訪:39】松尾錦工房【窯元探訪:39】松尾錦工房

イチオシ作品はラスター技法によって彩られた作品。ラスター(luster)とは、落ち着いた輝きという意味です。「ラスター彩」と呼ばれるドイツの絵の具を使い化学反応にてクラッキング(ひび割れ)を起こして作るパールのような表現や虹彩は、今までの有田焼にない表現ができる絵の具です。この絵の具は普段冷蔵庫に保管されています。

【窯元探訪:39】松尾錦工房
お雛様にもラスター彩が使われています。キラキラしていて綺麗です。

また工房ではアクセサリーなども販売されています。粘土をちぎってランダムな形にした世界に一つだけの「手捻りオリジナルペンダント」
【窯元探訪:39】松尾錦工房
鮮やかな絵柄も様々で、どれにしようか迷ってしまいます。プレゼントにも最適です。
女性のお客様にも大人気。有田のお土産にいかがでしょうか?松尾さんのイチオシは金で描かれた青海波模様だそうです。
【窯元探訪:39】松尾錦工房

工房でしか見られない道具なども見せて頂きました。
【窯元探訪:39】松尾錦工房
こちらは大正時代から使われているという「うま」職人さんが絵付けをする時に使うテーブルです。今は高い机と椅子に座って作業をされていますが、昔は正座してこの机で描かれていたそうです。
【窯元探訪:39】松尾錦工房【窯元探訪:39】松尾錦工房
「擦り棒」は右側の木製の柄のものは先代から使っているものだそうです。(絵の具をすりつぶす際に使います)
道具ひとつひとつにも歴史を感じます。

【窯元探訪:39】松尾錦工房
大量に同じ模様を描く時に使う「判」。販売店によって特注のものを別に作る時もあるそうです。

【窯元探訪:39】松尾錦工房【窯元探訪:39】松尾錦工房
こちらが電気窯。今朝使ったばかりということでほんのり温かったです。
右は平たい板に焼き物を並べ、この「柱」の上にさらに平たい板を乗せて並べます。
【窯元探訪:39】松尾錦工房
その他にも製品を並べる箱も並んでいます、これはまだほんの少し。工房内には沢山の昔ながらの道具が溢れています。

松尾さんはトルコで開催された陶磁器シンポジウムに登壇されたこともあり、トルコの民芸品も沢山飾られていました。トルコが大好きだそうで工房の中は絵付け道具や商品以外にもいろんな興味を惹かれるものがそこかしこに飾られており、松尾さんのアーティストならではの感性も伝わってきます。
【窯元探訪:39】松尾錦工房
『作品作りには色々な事に興味を持ち自由奔放に。』がモットーとの事。伝統文化も大切にした上で、常に新しい事にアンテナを張り色々なインスピレーションを受けることが大事、との事。そしてもっと有田のことを知ってほしいのでこれからもどんどん出張絵付け教室をやっていきたい!とおっしゃっていました。

『松尾錦工房』では工房で絵付け体験を行っています。有田をもっと体験したい方は是非、お問い合わせください。『松尾錦工房』の隣には史跡、『皿山代官所跡』、奥にはパワースポットの神社や江戸時代からの古いトンバイ塀もあります!観光にも是非お立ち寄りください。との事でした。
【窯元探訪:39】松尾錦工房

本日は、赤絵師の松尾嘉之さんにお話をお伺いしました。

『松尾錦工房』
佐賀県西松浦郡有田町白川1-3-10
TEL:0955-42-2470
定休日:日曜日
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