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【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう)

2020年08月16日

有田観光協会 at 09:00  | 窯元探訪・やきもののお店訪問
皆様に有田の窯元・やきもののお店をご紹介する【窯元探訪・やきもののお店訪問】。

今日は『大樽陶山堂(おおだるとうざんどう)』をご紹介します。

【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう)

『大樽陶山堂』は、昭和21年創業のやきもののお店です。
【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう)
国の重要伝統的建造物群保存地区に認定されている有田町内山地区に構える店舗は、昭和23年に有田町で起こった水害の後、購入された町屋だそうです。
建物は、1828年に有田町に大きな被害をもたらした文政の大火後に建てられたものだそうで、専門家によれば、築130年から150年の建物と推察されるとのことです。

【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう) 【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう)
お店の奥を見学させていただきました。
歴史がある箱階段や、縁側、窓の格子など、伝統的な日本建築の美を感じることができます。

「町屋は人が入ることによって趣ある風合いが生まれるんですよ。この廊下も人が歩くことによって板が皮脂でこすられ艶が出てきています。」そう語るのは社長の杉本利文さん。

【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう)
こちらの画像は床下から外の風を入れ、店内の風通しを良くすることと同時に床下通気性を良くし、建物の傷みを防ぐ工夫がされています。

しかし、町屋ならではの大変な部分も。
大樽陶山堂の建物には窓が15カ所もあるそうで、大変風通しが良い反面、急に雨が降ると、窓を閉めて回るのもひと仕事なんだとか。
また、戸の歪みを調整するため、削ったり足したりしながらメンテナンスも行われているそうです。
歴史ある建物は、建築の創意工夫と家人の努力で維持されていることがわかります。


【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう) 【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう)
大樽陶山堂では、一般食器を中心に季節の小物などを取り揃えてあります。
店の中ほどには、骨董品の立派な金魚鉢が置かれており、その周りには、有田町のやきものの歴史がうかがえる泉山磁石場の陶石や、窯道具、やきもののカニや魚たちが飾ってあります。
この癒しの一角がお客様との話題の架け橋になっているようで、陶石や窯道具の説明をしながらコミュニケーションをとられています。この日も、金魚鉢に興味津々のお客様がいらっしゃっていました。
店内の雰囲気も町屋に相応しく、古道具や大事に使われていた家具に商品を展示するなど味のある演出をされています。
【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう) 【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう)


大樽陶山堂でもっとも目を引く商品はたくさんの酒器。
お酒が好きだと言う杉本さんが様々な酒器を集められたそうです。
中には、面白い盃も。
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こちらは、天狗の盃と、ひょっとこの盃です。
小さなお面のような形で、裏側にお酒を入れて飲むそうですが、飲み干さないと盃をテーブルに置くことができません。ひょっとこの盃も口の部分に穴が開いており、穴を塞ぎながらお酒をそそぎます。天狗の盃と同様に、飲み干さないとお酒がこぼれてしまいます。

【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう) 【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう)
こちらは桃の徳利です。
この徳利は、元々300年ほど前の中国に原型があったそうで、桃は中国で縁起物とされています。
この徳利をよく見ると、お酒を入れるところがありません。
お客様は、みんな頭を悩ませ、注ぎ口から入れるのではないか?など話題になるそうです。
この徳利、実は逆さまにしてお酒を入れるそう。特殊な作りにより元に戻してもお酒がこぼれることがないのだとか。お酒の席では盛り上がること間違いなしの徳利ですね。

その他、お酒が五合も入る大きな徳利や、珍しい形状の酒器が揃っています。
酒器を探しているお客様がいると、皿山商店会の他の店から大樽陶山堂を紹介してくれるそうです。

皿山商店会とは、有田皿山通りと呼ばれる店の前の通りの商店会です。
「この商店会で、有田のすべてのやきものが揃うような協力体制を作り上げたい」と杉本さんは言います。
自分の店に来られたお客様の希望の商品がない場合は、商店会の別の店を紹介するなど、それぞれの店の特徴や、品揃えを共有する努力をされています。
この協力体制で大事なのは話し合いの場や交流の場だそうです。

【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう)
毎年GWに開催されている有田陶器市での皿山商店会主催の"朝粥"イベント。その年に制作された限定の干支のお碗で"朝粥"を提供する毎年恒例の人気イベントです。このイベントで使う干支のお碗を洗う時などは情報交換の良い機会だそう。2000個以上あるお碗を協力して洗いながら親睦を深めているそうです。
今年は、新型コロナウィルスの影響で、GWはWEB有田陶器市としての開催となりましたが、朝粥碗の問い合わせが殺到し、WEBでもたくさんのお客様に注目されたとか。
今後も皿山商店会の結束を深めて、お客様にとって便利で買い物や散策がしやすい商店会にしていきたいそうです。
自分のお店だけでなく地域全体を盛り上げていきたい気持ちが伝わってきた取材となりました。


本日は社長の杉本利文さんにお話を伺いました。
【やきもののお店訪問:40】大樽陶山堂(おおだるとうざんどう)


大樽陶山堂
佐賀県西松浦郡有田町大樽2-2-13
TEL:0955-42-2069
営業時間:9:00~17:00
定休日:年中無休(臨時休業 あり)



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