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【窯元探訪:11】陶祖李参平窯~窯焼き~

2020年04月21日

有田観光協会 at 11:54  | 窯元探訪・やきもののお店訪問
皆様に有田町の窯元をご紹介する【窯元探訪:11】

今日は『陶祖 李参平窯』をご紹介します。
【窯元探訪:11】陶祖李参平窯~窯焼き~
有田焼を語る上で決して欠くことのできない存在、それが、有田焼の祖「李参平」(日本名は金ヶ江三兵衛)です。
豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に連れてこられた朝鮮の陶工のひとりで、有田の泉山で白磁鉱を発見し、本格的な磁器生産を始めた人物です。
『陶祖 李参平窯』は、現在、李参平の子孫である十四代目金ヶ江三兵衛さんの窯元です。
【窯元探訪:11】陶祖李参平窯~窯焼き~

金ヶ江さんは、初代金ヶ江三兵衛が活躍した頃の作品、草創期の初期伊万里を研究し、日々製作に励んでおられます。
初代と同じく佐賀県有田町泉山の土を使い、薪窯で作品を焼成されています。

今日は、年に2回しかない貴重な薪窯焼成に立ち会わせて頂きました。
 【窯元探訪:11】陶祖李参平窯~窯焼き~ 【窯元探訪:11】陶祖李参平窯~窯焼き~
窯入れから1日半で窯の温度は、すでに1220℃に達していました。現在は温度計で測るそうですが、昔は炎の色で温度を見ていたそうです。
薪をくべる部分の火前の温度はさらに数十度高いそうで、3mほど離れた所にいても熱気で顔が焼けそうです。どんどん薪を入れ、更に温度を上げていきます。薪をくべると黒い煙がもうもうと立ち昇っていきます。

【窯元探訪:11】陶祖李参平窯~窯焼き~
焼成に使った登り窯の中は、部屋が3つに分かれており、一室約4m四方の部屋に棚板を数段重ねているそうで、やきものの大きさや形状、種類によって置く場所を考えているそうです。一室の中でも温度のムラがあり、置き場所の見極めが大切とおっしゃっていました。

【窯元探訪:11】陶祖李参平窯~窯焼き~
焼成するにあたり、焼きの具合を見ることに使うのがこちらの、"色味”や”あげてみ”と呼ばれるもの。
器と一緒に窯にいれ、この”あげてみ"の真ん中の穴に棒をひっかけ、窯の側面の小さなレンガの隙間から取り出して発色の具合や釉薬の溶け方などを見るのだそう。

【窯元探訪:11】陶祖李参平窯~窯焼き~【窯元探訪:11】陶祖李参平窯~窯焼き~ 
焼成はおよそ2日以上かかり、その間は交代で、わずか1~2時間しか眠らず付きっきりで温度を見るのだとか。風や気圧も温度を左右するため、特に風がある日は火のコントロールが難しい作業です。

焼成が終わると約1週間寝かします。火入れの時間以上に冷ますことも大事とおっしゃっていました。
このような大変な作業をしても、全ての作品を完璧に焼き上げることはできないそう。


【窯元探訪:11】陶祖李参平窯~窯焼き~ 【窯元探訪:11】陶祖李参平窯~窯焼き~
焼成1週間後の窯。美しい器が並んでいます。

「薪窯焼成は難しいけれど、ガス窯などにはない面白味がある。やきものを形作る段階で、すでに薪窯の配置を考えていく」と話すのは十四代目金ヶ江三兵衛さん。
今回焼成された作品は、有田町内山地区の陶山神社の入り口にある陶祖 李参平窯のギャラリーでご覧頂けます。


陶祖 李参平窯
佐賀県西松浦郡有田町幸平2-1-3
TEL:0955-42-4722
E-mail:toso.lesanpei@gmail.com
営業時間:11:00~18:00
定休日:火曜日、第4日曜日
http://toso-lesanpei.com
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